
都市型ハイヤー事業は、インバウンド需要がますます高まりその参入障壁の高さから、一時はブルーオーシャンと認識されていましたが、近年は許可事業者も増え差別化が難しくなっています。都市型ハイヤー事業ですでに安定した売上を確保し、軌道に乗っている事業者は、今後どのような成長戦略を描けば事業の持続性を維持できるのでしょうか。
そのため、既に事業基盤が整っている都市型ハイヤーの事業者の多くが、今後の成長戦略として次の2つの方向性のどちらを採用するかで事業の将来を左右します。
1.タテに行くかヨコに行くか

①タテに行く展開:旅行業による事業の高度化・商品化
②ヨコに行く展開:貸切バス事業による輸送領域の拡張
①タテに行く=旅行業登録による事業の多層化
【メリット】
旅行業を取得すると、都市型ハイヤー事業では扱えない商品設計という上位レイヤーに踏み込むことができます。
旅行業は、事業の付加価値を高めて収益構造を複層化する可能性があります。
【デメリット】
一方で、旅行業を行うには大きな負担があります。
- 旅行業に関する法令遵守義務
- 顧客リスク管理
- JATAやANTAへの加入と供託金
さらに、旅行会社と同じ土俵に立ってしまうことで、旅行会社から見ると今までのパートナーから競合会社へ変わってしまうということです。
特に、既存の都市型ハイヤー事業の顧客の中には、旅行会社が多数含まれています。
その旅行会社からすれば、今までは協力し合うパートナーだった都市型ハイヤー事業者が、突然自分たちのマーケットに参入してきたという警戒感が生まれ、仕事を別のハイヤー事業者へ振り替えたり、従来から引き受けていた仕事が減少するという事態が実際に起こり得ます。
つまり、旅行業を取得した結果として、既存のハイヤー事業の売上を自ら減らしてしまうリスクがあることは見逃せません。旅行業は有効な戦略である一方、誰でも成功できる方向性ではないという現実があります。
②ヨコに行く=貸切バス事業による運送事業領域の拡張
【メリット】
貸切バス事業は、都市型ハイヤー事業と制度的な親和性が非常に高く、さまざまな市場ニーズに対応できる拡張性があります。
さらに、現行制度では中型・小型(マイクロバス・ハイエース)限定の許可であれば、3台から許可取得が可能で、投資負担が比較的軽いという実務上のメリットがあります。都市型ハイヤー事業の運行管理体制やドライバー教育の仕組みを、そのまま活かして拡張できる点も大きな利点です。
【デメリット】
もちろん、貸切バス事業にも注意点はあります。
- 新規許可取得時に一定の資金が必要
- 都市型ハイヤー事業にはない、デジタコ導入、点呼の動画保存等設備投資と運行管理体制の強化が必要
- 貸切バス適正化センターの巡回指導があり負担金拠出あり
業務運営体制については、若干異なる部分があるものの都市型ハイヤー事業者が取り組んでいる点呼、運転日報、ドライバー教育、車両管理などの延長線上であり旅行業のように別の領域に入っていく訳ではなく、運送事業として守備範囲を広げていくビジネスの発展形になります。
2.旅行業に踏み込むことで、既存事業に影響が出る可能性

ここで改めて、都市型ハイヤー事業と旅行業の関係性を整理すると、都市型ハイヤー事業はどこから商売を受注しているか、と考えると大口顧客は旅行会社であるケースが多い
という現実があります。
すると、旅行業を取得した瞬間に、旅行会社から見るとパートナー会社から旅行会社の競合という立場に変わってしまいます。
旅行会社が最も嫌うのは、自社の利益領域に都市型ハイヤー事業などの他業種が入ってくることであり、それがわかれば自然と仕事は別の事業者に流れてしまいます。
つまり、タテへの展開(旅行業)は、既存の都市型ハイヤー事業の収益を毀損するリスクという大きなデメリットを持つのです。
3.だからこそ、ヨコの展開=貸切バス事業の許可を取得して新たなビジネスチャンスを広げましょう

旅行業と貸切バス事業は、どちらが優れているという話ではありません。ただし、都市型ハイヤー事業者が、既存の強みを活かしながらビジネス拡大を図るという観点で考えると、貸切バス事業への進出は非常に合理的で、リスクが最も少ない展開と言えます。
4.競争が激化する今だからこそ貸切バス事業とのダブルライセンスで差別化を

都市型ハイヤー市場は、ここ1〜2年で参入事業者が急増しています。
新車では納車まで1年程度かかると言われていますが、中古市場でアルファードやハイエースが手軽に購入できることから、既存法人だけでなく個人が法人化して参入するケースもあり関西国際空港発着の送迎(2時間以上の観光付き)は供給過多の状況に近づいています。
このような環境下で他社との差別化を図るためには、都市型ハイヤー+貸切バスのダブルライセンス体制が重要な戦略になります。
貸切バス事業の許可を保有していれば、旅行会社やホテルの大型案件にも対応でき、都市型ハイヤー事業者の中で明確な優位性を発揮します。
旅客運送の多様なシーンに対応できる事業ライセンスを持つことで、お客様や旅行会社から信頼できる事業者として評価され、価格競争に巻き込まれにくくなります。
単なる車両を増やすのではなく、法的・制度的な差別化戦略こそが、これからの生存条件です。
5.大型ではなく「中型・小型バス限定許可」で始める現実的戦略

貸切バス事業というと50人乗りの大型観光バスを想像される方も多いですが、都市型ハイヤー事業者が最初から大型バスを導入する必要はありません。むしろ、中型車・小型車限定許可でのスタートが現実的であり、リスクを大幅に抑えられます。
大型バスを保有しない中型車・小型車の限定許可であれば、3台からのスタートが可能です。これは国交省が定める最低車両基準を満たしつつ、都市型ハイヤー事業で既に整備している営業所・車庫・業務運営体制をそのまま活用できるため、極めて効率的です。
さらに将来的に大型バスを導入する場合でも、条件変更申請によって比較的容易に大型車を追加登録することが可能です。
つまり、まずは3台のマイクロバスから始め、事業の拡大に合わせて段階的にスケールアップする柔軟な経営設計ができます。
6.人の要件は都市型ハイヤー事業の体制をそのまま流用できる

多くの方が運行管理者や整備管理者、ドライバーを新たに確保しなければならないのではと懸念されますが、都市型ハイヤー事業者であれば問題ありません。
特殊な申請手法を用いることで、都市型ハイヤー事業と貸切バス事業の双方において、運行管理者および整備管理者を同一人物が兼任する体制を構築することが可能です。ただし、この方法は一般的な申請では認められにくく、事業計画書・運行管理体制・配置転換のロジックを正しく設計しなければ成立しません。
貸切バス事業や都市型ハイヤー事業の制度を深く理解し、過去に多数の許可取得を手掛けてきた専門家でなければ、法令適合性を確保したうえでの兼任体制の構築は極めて困難です。当事務所では、こうした高度な申請設計を行い、最小限の人員増で貸切バス事業へ参入できる体制づくりをサポートしています。特殊な申請方法を行うことにより、運行管理者・整備管理者は、都市型ハイヤー事業と貸切バス事業で兼任が可能です。
ドライバーについても特殊な申請手法を行うことにより、中型二種免許を持っていれば、貸切バスと都市型ハイヤーのドライバーを兼任することができます。
また、業務運営体制についても、都市型ハイヤー事業で既に実施している点呼・運転日報・運行指示書といった基本的な管理に、貸切バス事業特有の要件をいくつか追加するだけで対応が可能です。
貸切バス事業で求められる追加項目や実務上の注意点については、当事務所が事業計画と運行管理体制の両面から具体的にアドバイスいたします。
すでに整備している体制を横に広げるだけで新規事業として形にできるため、人員が不足していると感じている場合でも、人的要件を理由に参入をあきらめる必要はまったくありません。
当事務所が、無理のない体制構築をご提案いたします。
7.貸切バス事業許可取得の主な要件

| 車両要件 | 乗車定員11名以上の車両3台以上(中小型限定許可の場合) |
| 営業所・休憩施設要件 | 旅客運送専用の独立スペース(詳細の要件あり) |
| 車庫要件 | 営業所から2km以内に全車両 |
| 人的要件 | 運行管理者・整備管理者・安全統括管理者の選任、中型(大型)二種免許保有者の配置 |
| 資金要件 | 初期費用・運転資金をカバーする自己資金 |
| その他 | 契約書関係、履歴事項全部証明書等 |
都市型ハイヤー事業で準備済みの要件が多いため、実務上のハードルは高くありません。当事務所では、都市型ハイヤー事業から貸切バス事業への拡張案件を数多く手掛けており、許可率100%を維持しています。
8.当事務所のサポート体制

当事務所は、都市型ハイヤー事業・貸切バス事業・貨物運送事業を中心とする運送業専門の行政書士事務所です。
単なる書類作成の代行ではなく、許可取得後の業務運営体制の構築・監査対応・経営設計までを一貫して伴走いたします。
<サポート内容>
- 貸切バス事業許可申請の全工程サポート
- 運行管理・整備管理者の兼任体制の運営体制支援
- マンツーマンによる役員法令試験対策
- 車庫・営業所・休憩施設の測量、CADを使用した正確な図面作成
- 監査・巡回指導対策コンサルティング(顧問契約制度)
- 許可後の経営伴走(顧問契約制度)
運送業の制度・現場・経営のすべてを理解した専門家が、貴社の拡張を最短ルートで実現します。
8.都市型ハイヤー+貸切バス=「2階建て経営」で安定と事業拡張を両立

都市型ハイヤー事業で築いたブランド力と顧客基盤に、貸切バス事業を加えることで2階建て経営が完成します。
11人以上の小団体から中団体までを一気通貫でカバーできる体制は、旅行会社からの信頼を圧倒的に高めます。
さらに、今後の行政監査や安全管理基準の強化にも対応しやすくなり、法令遵守を重視する会社として社会的信用力も上がります。これは単なる売上拡大ではなく、事業の信用資産を増やす投資なのです。
9.当事務所からのメッセージ

都市型ハイヤー事業は、今まさに転換期を迎えています。
競争が激化する中で、他社との差を明確にするためには制度上の差別化、すなわちダブルライセンス戦略が不可欠です。
貸切バス事業許可の取得は、貴社の事業を次のステージへ押し上げるための最も現実的な一手です。
当事務所は、都市型ハイヤー事業にプラスして貸切バス事業を拡張する体制を、制度・現場・経営の三方向から全面的にサポートいたします。
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